
日本人の死亡原因の約60%を占める三大生活習慣病「がん」「心臓病」「脳疾患」。初期段階では隠れた部位での病巣や自覚症状のない場合も多く、発見の遅れは深刻な後遺症や生命の危険につながる恐ろしい病気です。不規則な生活やストレス社会の中で自身の健康を過信し、「病気は他人事」と考えがちな現代人にとって、これらの病気はもはや「誰にでも起こりうる身近な危機」といっても過言ではありません。

自己制御力を失った細胞が、際限なく分裂し増殖したときに生じる大量の細胞組織、いわゆる「しこり」を腫瘍といい、そのうち悪性腫瘍のことを総称して「がん」と呼びます。
がんは基本的にすべての臓器で発生するもので、浸潤(周囲の細胞組織や器官に染み込んで破壊)・転移(がん細胞が腫瘍から分離し体内の新しい場所に腫瘍をつくる)・再発(切除してもがん細胞が残っていたりすでに転移している場合がんが再発)という三つの病態で臓器細胞を破壊します。
その兆候としては、
・傷などの自然治癒力の低下 ・下痢や便秘 ・ほくろやいぼの変化
・尿の変化 ・咳や血痰 ・体重減少
などが挙げられますが、一般的な人間ドックや集団検診ではがんか否かの精密な診断は難しく、とりわけ初期症状では痛みを伴わないことが多いため、定期的な専門検診による早期発見が重要視されています。聞き慣れた肺がんや乳がん、大腸がんのほか、白血病や悪性リンパ腫、骨髄腫、骨肉腫などもがんの一種として数えられます。
不整脈や心肥大、肺動脈狭窄など、心臓病もさまざまです。中でも生活習慣病として位置づけられる代表的な疾患が、「狭心症」「心筋梗塞」といった虚血性心臓病の部類。これらは心臓に血液を送る冠状動脈が狭まり血液供給が途絶えることで酸欠や栄養不足を招き、その結果細胞が破壊される「動脈硬化」を原因として発症する病気で、老化のほか生活習慣に多くの要因があるとされています。
狭心症の誘因は、運動や家事、入浴、怒りや悲しみ等の心情変化、冷たい飲み物、喫煙など何気ない日常生活に潜み、ときには睡眠中など誘因不明のまま胸痛発作を起こすケースもあります。一方、心筋梗塞は、安静時や睡眠中、軽い運動時に起こることが多く、胸痛発作も1分から15分程度の狭心症にくらべ、30分から数時間、長いときには数日間も断続的に激しい胸の痛みに襲われることがあります。狭心症は発作も短く安静にすれば一時的に回復しますが、心筋梗塞の場合は、周囲に人がいないときに倒れ発見が遅れたり、心臓の細胞が一度に大量に死滅する重度の発作の場合、即死亡に至る危険性があります。

脳疾患の代表的なものには、動脈硬化による脳硬塞・脳出血・クモ膜下出血などの「脳卒中」、脳細胞の死滅によって脳が萎縮し知能障害を引き起こす「アルツハイマー病」、そして「脳腫瘍」があります。
これらの病気の恐ろしい点は、発見・治療が遅れた場合、命に別状はなくても植物人間になってしまったり、あるいは手足の麻痺や言語障害という重度の後遺症で、社会復帰が難しくなるケースが少なくないということです。患者本人の肉体的・精神的苦痛はもちろん、後遺症がもとで家庭崩壊という悲しい結末を迎えることも珍しくありません。
突然発症し、しかも急速なスピードで進行する脳疾患。近年の医療技術の進歩により、特に脳卒中による死亡率は減少傾向にありますが、依然としてその有病率(発症する割合)は昔も現在も変わりなく、とりわけ高齢期に発症するほど、寝たきりになる可能性も必然的に高くなっていきます。
三大生活習慣病の早期発見・早期治療は、現在そして将来にわたる病気の予防において絶大な効果を発揮します。そこで普段から心掛けたいのは、「健康なときこそ慎重に」という意識。病気はこちらの都合を考えず、突然忍びやって来るもの。早期発見・早期治療への取り組みは、ご自身の健康だけでなく、幸せな家庭や人生を守るために必要な、最低限の備えだとお考えください。
ここでご紹介した三大生活習慣病は自覚症状に乏しく、突然発症することも珍しくありません。ゆえにその最も効果的な予防策は、何よりもやはり“定期検診を地道に継続する”ことです。しかし一般的な人間ドックでは検査機能や検査領域に限界があり、全身をくまなく検診することは難しいとされています。その弱点を補う意味からも、より精密で専門性の高い検診を加えることをお勧めします。
医療技術は日進月歩で進歩し、現在もさまざまな新治療システムの研究開発が進められています。がん治療を例にいえば、これまでの外科療法、放射線療法、化学療法に加え、新たに「重粒子線治療」という新技術が確立され、「切らずに直す人に優しいがん治療」として世界の医学界からも注目されています。このように患者への負担が少なくしかも迅速で正確な専門治療技術も、精密な検診による早期発見があってこそ初めて生かされるものなのです。